「……鬼はたった一人で、死んでしまいましたとさ……めでたし、めでたし……」
自虐的にそんな事を呟きながら、横たわっていた私はごろんと仰向けに寝返りをうった。
視界に真っ青な空が飛び込んでくる。ギラギラと輝く太陽が眩しくて、片腕を上げて目元に日陰を作った。草が顔の横で風に揺られ、青臭い匂いがした。
――――いつか陸と流星群を見た丘へきていた。
陸には洋館へ残って欲しいと言われていたが、やはり私は逃げてしまった。これ以上、彼に迷惑を掛けたくなくて。
それでも遠くへは離れられず、こんな中途半端な所に身を隠している。
陸は……もう洋館へ来たのかな。
もう一度会いたかった。あの優しい笑顔が見たかった。お菓子を分けあって食べながら、陸に人間の事を教えてもらって、笑って、笑って、笑って……
「楽しかったなあ……」
独り言のように呟いた言葉は、風に拐われ山の方へ飛んでいった。
太陽に照らされているからだろう、額に少し汗が滲んできた。本当だったらこんな昼間には、もっと太陽を避けられる日陰にいるべきなんだろう。
でも、体が上手く動かない。それは太陽のせいだけではなかった。
自分自身の体力と、鬼の力が弱くなっているから……