否定は出来なかった。
だって、そうしなければ兎月は月へ帰れないまま、美兎のように死んでしまうんだから。
「……じ、だ……!」
うつ向きながら勇樹は、今までにないくらい低い声を出した。よく聞こえなくて聞き返したが、答えてはもらえなかった。ブツブツと呟きながら何かを繰り返している。
「勇樹……?」
「……陸、鬼はまだ、洋館にいるんだよな?」
「え? ああ、そのはずだけど……」
勇樹が兎月の事を名前ではなく『鬼』と言った事に何か違和感を感じた。嫌な予感で鼓動が早る。
何だ……? 勇樹は何を考えている?
「じゃあ、人を集めなきゃな……柔道部の猿田とか、力ありそうでいいかな……それと後は……」
「お、おい、勇樹! お前、何を……」
俺の問いかけに、勇樹はゆっくりと顔を上げた。
「何を、って……決まってるじゃん」
「え……?」
「――――鬼退治だよ」
◇
だって、そうしなければ兎月は月へ帰れないまま、美兎のように死んでしまうんだから。
「……じ、だ……!」
うつ向きながら勇樹は、今までにないくらい低い声を出した。よく聞こえなくて聞き返したが、答えてはもらえなかった。ブツブツと呟きながら何かを繰り返している。
「勇樹……?」
「……陸、鬼はまだ、洋館にいるんだよな?」
「え? ああ、そのはずだけど……」
勇樹が兎月の事を名前ではなく『鬼』と言った事に何か違和感を感じた。嫌な予感で鼓動が早る。
何だ……? 勇樹は何を考えている?
「じゃあ、人を集めなきゃな……柔道部の猿田とか、力ありそうでいいかな……それと後は……」
「お、おい、勇樹! お前、何を……」
俺の問いかけに、勇樹はゆっくりと顔を上げた。
「何を、って……決まってるじゃん」
「え……?」
「――――鬼退治だよ」
◇