この洋館を去ろうと決めた日の夕方。私は最後に陸に会いに行く事にした。彼の住んでいる家は知らないけど、高校は知っている。前に陸が場所を教えてくれたんだ。
太陽が傾き始めると、私は洋館を出た。
囲まれている森を抜ける。そこから道沿いに歩いて、右、左、左と曲がり、少し坂を上がった突き当たりが陸の高校。
校庭をぐるりとフェンスが囲んでいた。なるべく目立たない場所で中を見ると、まだ沢山の人間が走ったり、道具を使って何かしたりしている。部活ってやつなのだろう。
その奥の方に丸い玉を蹴っている数人の人間の姿が見えた。
あれがきっとサッカー部だ……
だけど、陸の姿は見つからなかった。
会って話をしたかったわけじゃない。最後に、一目姿を見たかっただけなのに。どうやらそんな私の自分勝手な願いは叶わないみたいだ。
仕方なく踵を返し戻ろうとした瞬間――――
「――――兎月……」
すぐ近くの校門の所に、私を真っ直ぐに見つめた陸が立っていた。
陸は目が合うと、それをさっとそらす。
もう、嫌われちゃったかな……
でも仕方ない。今は鬼化してないから、怖がられないだけでよしとしなければ。
太陽が傾き始めると、私は洋館を出た。
囲まれている森を抜ける。そこから道沿いに歩いて、右、左、左と曲がり、少し坂を上がった突き当たりが陸の高校。
校庭をぐるりとフェンスが囲んでいた。なるべく目立たない場所で中を見ると、まだ沢山の人間が走ったり、道具を使って何かしたりしている。部活ってやつなのだろう。
その奥の方に丸い玉を蹴っている数人の人間の姿が見えた。
あれがきっとサッカー部だ……
だけど、陸の姿は見つからなかった。
会って話をしたかったわけじゃない。最後に、一目姿を見たかっただけなのに。どうやらそんな私の自分勝手な願いは叶わないみたいだ。
仕方なく踵を返し戻ろうとした瞬間――――
「――――兎月……」
すぐ近くの校門の所に、私を真っ直ぐに見つめた陸が立っていた。
陸は目が合うと、それをさっとそらす。
もう、嫌われちゃったかな……
でも仕方ない。今は鬼化してないから、怖がられないだけでよしとしなければ。