「――――美兎!」 崩れてゆく彼女に向かって必死の声を上げた瞬間、ざあっと一陣の風が吹いた。それは美兎の身体だった砂粒を巻き上げ、空高くへと運んで行ってしまった。 ――――美兎は月へ帰れたかな…… もう砂粒すら見えなくなってしまった夜空を見上げながら、私はそんな事を思っていた。 ◇