そうして私は、今夜満月の夜に地上へ降り立った。
鬼の力で開いた地上への道は、出口が幾つか作る事が出来る。私はその中で、ある街の、森の中の洋館へ出る道を選んだ。鬱蒼とした森の中にある白い洋館は、静かで落ち着けると思ったからだ。
誰も住んでいないこじんまりとした館。二階建てで、元々は人間の別荘だったのだろう。今は所有者がいないのか、打ち捨てられているようだった。
電気、というのはまだ通っているみたいだ。人間の世界では、その電気、が色々な物を動かすそうだ。その証拠に、さっき手こずっていた箱が動いたのだから。
部屋の中の家具には、ホコリ避けなのか白い布が掛けられている。所々汚れも見えて、長い間誰も手を触れた形跡はない。
そんな中で暫く満月を見つめていたが、不意に窓ガラスに反射して写った自分の姿に気がついた。
人間に擬態する為に着た、白いワンピース。長い黒髪の上に、いつもは当然の様にある二本の角が消えている。これも鬼の力で消したのだ。
角が無い事に違和感を感じるが、仕方ない。角がある人間なんていないのだから。
それを確かめるように頭に手を触れた時、何かの物音がしたような気がして私は扉の方へ目を向けた。
鬼の力で開いた地上への道は、出口が幾つか作る事が出来る。私はその中で、ある街の、森の中の洋館へ出る道を選んだ。鬱蒼とした森の中にある白い洋館は、静かで落ち着けると思ったからだ。
誰も住んでいないこじんまりとした館。二階建てで、元々は人間の別荘だったのだろう。今は所有者がいないのか、打ち捨てられているようだった。
電気、というのはまだ通っているみたいだ。人間の世界では、その電気、が色々な物を動かすそうだ。その証拠に、さっき手こずっていた箱が動いたのだから。
部屋の中の家具には、ホコリ避けなのか白い布が掛けられている。所々汚れも見えて、長い間誰も手を触れた形跡はない。
そんな中で暫く満月を見つめていたが、不意に窓ガラスに反射して写った自分の姿に気がついた。
人間に擬態する為に着た、白いワンピース。長い黒髪の上に、いつもは当然の様にある二本の角が消えている。これも鬼の力で消したのだ。
角が無い事に違和感を感じるが、仕方ない。角がある人間なんていないのだから。
それを確かめるように頭に手を触れた時、何かの物音がしたような気がして私は扉の方へ目を向けた。