「――――どうした、兎月? 具合悪いのか?」

「陸……ううん、大丈夫。少し、疲れただけ……」


 誤魔化す為に言った言葉で、陸を余計に心配させてしまったみたいだ。勇樹と美兎に声をかけ、休憩にする事になってしまった。

 触れ合いコーナーの隣に、あまり大きくないセルフの飲食店。簡単な食事と飲み物が売っている。

 陸と勇樹がカウンターに買いに行ってくれている間、席には美兎と二人きり。彼女は私の向かいに座った。


「……ねえ、兎月」


 カウンターで注文をしている彼等の様子を伺いながら、美兎は小声で言った。


「あたしこの後、あの男を食べるわよ」

「――――え?」

「この後、肉食獣の方へ連れ出すから、あんたは鳥の方へ行ってくれる?」


 園内は、この広場で二つのエリアに分かれていた。左へ行けば肉食獣エリア、右へ行けば池と鳥獣エリアがある。

 四人で行動しているとやりにくいのだろう。美兎は私と陸と別行動にしようと言ったのだ。


「え、で、でも……ちょっと待って……!」

「……何?」

「あの……勇樹は、止めた方がいいと思う……」

「はあ?! 何言ってるの?」

「だって……勇樹は陸の親友だから……」


 勇樹を食べてしまったらきっと、陸が悲しむから……