――――動物園、当日。午後に陸が洋館まで迎えに来てくれた。今日行くのは夜も営業している動物園。陸と勇樹が私の体調を気遣って、夜でも楽しめる所を探してくれたそうだ。
電車に乗るのも初めてだったけど、陸がフォローしてくれて、無事に夕方前には勇樹と待ち合わせしている入り口前に着いた。そこには既に勇樹とその彼女が……
彼女の顔を見たとたん、私は息が止まってしまいそうだった。だってそこにはやはり、美兎が立っていたのだから。
美兎も私を見たとたん、不機嫌そうに顔をしかめた。
「――――なになにー? もしかして兎月ちゃんと美兎ぴょん、お知り合いなの?」
私たちの不穏な空気を察したのか、勇樹が私と美兎を交互に見た。だけど美兎はふいっと顔をそらしてしまった。
「全然、知らないわ、こんな女……!」
ああこれは、知らないフリをしろ、という暗黙のサインだ。
「わ、私も……! 初めて……」
咄嗟に合わせると、彼女は顔を背けたまま満足そうに口の端を上げた。
「そうなの? じゃあ俺の思い違い、かな……?」
勇樹は不思議そうな顔をしたが、これで押し通すしかない。美兎もそのつもりみたいだし。お互いの自己紹介もそこそこに、すぐに園内を回る事にした。
電車に乗るのも初めてだったけど、陸がフォローしてくれて、無事に夕方前には勇樹と待ち合わせしている入り口前に着いた。そこには既に勇樹とその彼女が……
彼女の顔を見たとたん、私は息が止まってしまいそうだった。だってそこにはやはり、美兎が立っていたのだから。
美兎も私を見たとたん、不機嫌そうに顔をしかめた。
「――――なになにー? もしかして兎月ちゃんと美兎ぴょん、お知り合いなの?」
私たちの不穏な空気を察したのか、勇樹が私と美兎を交互に見た。だけど美兎はふいっと顔をそらしてしまった。
「全然、知らないわ、こんな女……!」
ああこれは、知らないフリをしろ、という暗黙のサインだ。
「わ、私も……! 初めて……」
咄嗟に合わせると、彼女は顔を背けたまま満足そうに口の端を上げた。
「そうなの? じゃあ俺の思い違い、かな……?」
勇樹は不思議そうな顔をしたが、これで押し通すしかない。美兎もそのつもりみたいだし。お互いの自己紹介もそこそこに、すぐに園内を回る事にした。