これなら、万が一陸を食べられなくても、すぐに次が見つかりそうだ。だから、焦らなくても大丈夫。
ついでに、誰か一人くらい食べておこうかと思ったんだけど……ここへ来てから、実はまだ、『食事』というものを摂っていない。
そもそも鬼は、あまり食事を摂らない。
肉や野菜を食べるのは人間と一緒だが、一日三度も摂る必要が無い。極端な話、ひと月程なら水だけでも生きていけるのだ。
私が地上へ来てから、陸にお土産のお菓子を貰ってちょこちょこと食べていたから、お腹はまだ満たされていた。だから結局、誰も食べなかった。
――――夕方、珍しく陸はもう一人連れてきた。いつか親友だと言っていた、芦田 勇樹という若い男だ。
彼は陸より少し背が低く、陸より明るい髪色をしていて。陸より凄く、騒がしい人間だった。
「――――はーじめ、ましてー! 芦田勇樹ですっ! なになに? 兎月ちゃんていうの? 兎月ちゃんが陸の彼女ちゃん?!」
玄関で出迎えたとたん、勇樹はずいと身を乗り出し、そんな質問攻撃を繰り出した。私は驚いてしまい思わず後退る。それを見かねたのだろう、陸が勇樹の肩を引いてくれた。
「やめろ、勇樹。兎月が怖がってる」
「えー? ああ、ごめんごめん。陸の初めての彼女だから、つい興奮しちゃって!」
「彼女じゃねえし……」
「え? 違うの?」
「兎月は友達だ」
ついでに、誰か一人くらい食べておこうかと思ったんだけど……ここへ来てから、実はまだ、『食事』というものを摂っていない。
そもそも鬼は、あまり食事を摂らない。
肉や野菜を食べるのは人間と一緒だが、一日三度も摂る必要が無い。極端な話、ひと月程なら水だけでも生きていけるのだ。
私が地上へ来てから、陸にお土産のお菓子を貰ってちょこちょこと食べていたから、お腹はまだ満たされていた。だから結局、誰も食べなかった。
――――夕方、珍しく陸はもう一人連れてきた。いつか親友だと言っていた、芦田 勇樹という若い男だ。
彼は陸より少し背が低く、陸より明るい髪色をしていて。陸より凄く、騒がしい人間だった。
「――――はーじめ、ましてー! 芦田勇樹ですっ! なになに? 兎月ちゃんていうの? 兎月ちゃんが陸の彼女ちゃん?!」
玄関で出迎えたとたん、勇樹はずいと身を乗り出し、そんな質問攻撃を繰り出した。私は驚いてしまい思わず後退る。それを見かねたのだろう、陸が勇樹の肩を引いてくれた。
「やめろ、勇樹。兎月が怖がってる」
「えー? ああ、ごめんごめん。陸の初めての彼女だから、つい興奮しちゃって!」
「彼女じゃねえし……」
「え? 違うの?」
「兎月は友達だ」