「凄いな……今夜は夜になってすぐに流星群が見られるって聞いたから、兎月に見せようと思ってたんだけど。これほどとは……」
隣の陸も夢中になっているようだった。星から目を離さずに、呟くように言った。
陸は、私にこれを見せてくれようと思ってたんだ……
どうして陸がそう思ったのかは分からなかったけど、何故か心臓がドキドキする。そしてなんだか嬉しかった。
「奇麗だね……ありがとう、陸」
お礼を言うと、彼は束の間星から目を離し、私を見て照れたように笑った。
「兎月、月が好きみたいだったから、星もそうかなって思ったんだ。だから……」
「うん、星も好き……夜空が、好きなの」
流星群は月でも何度か見た事があった。でも、今日見たそれは今まで見たよりもっとずっと……今まで見た中で一番奇麗に感じた。それは、地上で見たからだろうか。
それとも、陸と見たからだろうか……
陸と二人で流星群を見た夜から、また何日か過ぎた。その間陸は、来たり来なかったり。来てくれた時は大抵美味しいお土産を持ってきてくれる。お陰で私は、地上のお菓子に少し詳しくなった気がする。
陸が来ない日には、夕方に一人で街へ行ってみた事もあった。人の多そうな繁華街を歩いてみると、陸と同じような『若い男』はたくさんいるようだった。