……それならそれで、都合がいい。昼間寝てるのも、一人で住んでいるのも、人間の陸から見ると変わっているらしいから、それを誤魔化す手間が省けるだろう。

 陸は次に来る時は、親友だっていう勇樹を連れてくると言って帰った。


 ……ああ、そういえば。また彼を食べる事が出来なかった。


 でも、また来るといっていた。陸はきっと、本当にまた来てくれるだろう。何だかそんな気がしてる。

 だから、焦らなくても大丈夫。チャンスはきっとまだあるのだから……




 ――――次の日は雨だった。

 朝から降り続く雨は太陽を隠してくれる。晴れた日より動きやすいから、この洋館の掃除をする事にした。また昨日みたいにホコリを舞い上げ、陸に嫌な顔をされないように。

 夕方になっても雨は降り続いていた。お陰で今夜は月は見えそうにない。掃除は随分、はかどったのだけど。

 陸は夕方を過ぎても現れなかった。

 まあ、毎日来る、とは言っていなかったけど。せっかく掃除を頑張ったのに、何だか拍子抜けだ。

 彼が来ないのなら夜に街へ出掛けようかとも思ったが、この雨だ。濡れるのはあまり好きでは無いので、今日は大人しくしている事にした。

 地上へ来て、もう三日。そのうち二日は陸と会って話していたから、誰とも話さず一人でいるのは少し寂しいような、不思議な気分だった。




 明日は陸、来るかな……