月が無い昼間は、体が上手く動かない。月ではいつも空が暗いからだろうか。この太陽の明るさが眩しくて嫌でたまらない。

 そういえばお母さんに、ムリに動いても消耗するだけ、昼間は寝ていなさい、と言われていた。だから私は、それに従う事にした。

 幸い、この洋館に置いてある家具の中にベッドもあった。敷いてあるマットやシーツは長い間そのままだったから、カビ臭くなっていたけど、贅沢は言っていられない。

 一番陽の当たらない二階の部屋を見つけ、ベッドに潜り込む。そして、陽が傾く夕方まで私はゆるゆると眠った。




 ――――どのくらい眠っただろう。私は、窓の外で鳥の飛び立つバサバサという羽音で目が覚めた。ベッドから抜け出し窓から外を見てみると、太陽は山の向こうへ落ちようとしていた。

 まだ少し怠いけど……太陽の光はだいぶ弱まってる。これなら、大丈夫かな。

 少し、街の方へ出掛けようと思っていた。

 『若い男』は一人見つけたけど、彼だけでは心許ない。万が一逃げられたりしたら、また一から探さなくちゃいけなくなるし。そこからまた探すのでは遅すぎる。だから、今のうちにもう一人ぐらい目を付けておこうと思ったのだ。

 地上で生きられる時間には、限りがあるのだから……