連れてこられた場所は、昇降口から少し歩いた先の階段下倉庫の前。

後ろには倉庫の扉があり、前には岡田さんが立っている。

放課後の時間帯でもあるため、人が来る気配もない。

逃げたくても逃げられない状態だ。


「…遠坂さんさ、最近七瀬くんとよく一緒にいるよね?噂になってるからどんな子かと思えば……」


冷たい瞳で私を見下ろす彼女は、以前、七瀬くんに告白していた時とはまるで別人のようで。

ふと、中条くんが言っていたことを思い出す。


『あの七瀬くんが遠坂さんみたいな冴えない女子と一緒に帰ってる所見たって』


『遠坂さんと七瀬くんは付き合ってないってことだよね?』


あの時は中条くんが冗談のつもりかと思っていたけど、"私と七瀬くんは仲が良い"という噂は本当に広まっていたんだ。


「ねえ、聞いてんの?」

「あっ、う、うん…聞いてるよ」


岡田さんの蔑んだ表情に身を縮こませながら話の続きを聞く。