そして移動教室の時間、またもや七瀬くんと遭遇する。
「お、七瀬くんだ。やっほー」
親戚に話しかけるようなノリで手を振る絢ちゃんに七瀬くんも真顔で振り返す。
「遠坂さ───」
「私、先行ってるね!」
「え、ちょっと汐莉!?」
絢ちゃんの呼び止める声も聞こえなかったフリをして、授業で使用する教室へと向かう。
更に次の時間もその次の時間も、お昼休みの時間も、七瀬くんと遭遇する頻度が非常に高かった。
…何故だ。
1人自分の席に着き、頭を抱える。
今までは全く見かけなかったのに今日は1日で約5回会った。
七瀬くんってこんな出会う確率高い人だったっけ。
無意識に私がストーカーしているのだろうか。
まるで、ゲームの10連ガチャで推しのSSRのカードが5枚連続で出たかのような感覚だ。
会いたくない時に限って会ってしまうだなんて…
七瀬くんを避けて、避けて、避けまくった神様からの嫌がらせでしょうか。
「汐莉〜」
七瀬くんから逃げまくって疲労を感じていた時、絢ちゃんの呼ぶ声がした。
「どうしたの絢ちゃ───」
顔を上げ、教室の入り口辺りを見ると…
「七瀬くんが汐莉をご指名ですよ〜」
「……えっ」
扉からひょっこりと顔を覗かせる七瀬くんと視線が絡み合う。
「…っ、おッヒョァッ!!?」
「グー◯ィーの声真似?」
…この展開、なんか前にもあった気がする!!!