「あ、うん!渡せたよ。私が七瀬くんにマフィン渡すかどうか躊躇ってたのを中条くんが機会作ってくれたんだよね?」
「そーそー!オレってばちょー優しいっしょ?」
「最初は驚いたけど、背中押してくれてありがと」
「オレの優しさに惚れないでよ〜?」
「大丈夫!私、七瀬くん以外の男の子好きになったりしないから!」
「あはは、はっきり言いますな〜」
中条くんはケタケタ笑った後、「あっ!」と大きい声を出す。
「七瀬く〜ん!やっほー☆」
ブンブンと手を振る中条くんにドキッと心臓が飛び跳ねた。
そして、不思議そうにこちらを振り向く七瀬くんとばっちり目が合い、中条くんの後ろに隠れる。
「おはよう、七瀬くん!いつも眠たそうなのに何でそんな顔面は綺麗なの?」
「…耳元で話さないでよ」
心底うざそうな顔をした七瀬くんは私の方に視線を移す。
「…遠坂さん、おはよう」
まるで、昨日の接吻は何もなかったかのように挨拶をしてくる七瀬くんに少し苛立ちを覚える。
何でそんないつも通りの態度で話しかけてくるんだ…と心の中で不満を抱きつつも───…。
「お、おひゃっ…おはよう、ごぜーやすっ!!」
声が裏返り、呂律が回っていない状態で返事をする。