今、七瀬くんに何をされているのかすぐに理解した。
「…っ、七瀬くん!!」
両手で七瀬くんを押しのけ、呼吸を整える。
「…な、何でキスなんか……」
体温が今までにないくらい熱い。
恐る恐る彼に問うと、
「…したくなったから」
だらんっと、腕を下げた七瀬くんは視線だけをこちらに向ける。
「したくなったからって……そ、そういうのは好きな人としないと……」
勘違いしちゃうよ……。
「……七瀬くん」
「…?」
少し表情が暗い七瀬くんが顔を上げる。
「自分の気持ちに気づいていないのに、中途半端な状態で軽々と女の子にキスしたらアカン!!!」
「えっ…」
何故か関西弁で怒鳴ってしまった私は、七瀬くんを置いて、勢いよく図書室を飛び出した。