全速力で図書室を飛び出し、女子トイレに駆け込む。

鏡にはトマトのように真っ赤になった自分の顔が映っている。


落ち着け、落ち着くんだ。

まだ期待をしてはいけない。


そう言い聞かせているけど、ほんの少しだけ自惚れてしまっている自分がいて、とんでもないくらい混乱している。

たぶんだけど、七瀬くんは私に対しての気持ちに気づきかけている可能性がある…?


つまり、これは脈あり説…!!


七瀬くんにアピールをし始めたのは昨日からだ。

一体、私のどこに気になりかけているのかはわからないけど、もう一度本人に聞いてみるしかない。


「…よし!」


両手で頰を叩き、気合を入れてから図書室に戻った。


「…七瀬くん?」


目に入ったのは、テーブルの上で突っ伏している七瀬くんの姿。

彼の隣に座り、つんっと肩をつつく。


「寝てるんですか?」


顔を伏せているため、表情は見えない。

私がトイレに駆け込んで悶々としていた間に彼は眠たくなって寝てしまったということか。


こ、この野郎…!!


ぎりぃっ…と下唇を噛み締め、眠りについている七瀬くんを睨んだ。


結局、私に対する気持ちは考える程のことではなかったのかな。

やっぱり七瀬くんから見る私は単なる"友達"にすぎないのかも。