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7限目が終わり、帰る支度をしていた時、スマホの通知音が鳴った。
確認すると七瀬くんからメッセージが届いていた。
《放課後、図書室来て》
絵文字も顔文字もない文章が送られてきて、なんだか無愛想なメッセージ。
…まあ、七瀬くんらしいけど。
《了解しました》と返信し、図書室へと向かう。
しばらくしてから目的地に到着し、古びた扉を両手で開ける。
中に入るとテーブルがいくつか置かれていて、奥の方で勉強をしている七瀬くんの姿が目に入った。
「七瀬くん、お待たせしました」
そう言って、七瀬くんの向かい側に座る。
「勉強してるんですか?」
「うん、もうすぐ中間テストだしね」
先程は機嫌が悪そうだったが、今はいつもの七瀬くんだ。
「…遠坂さん、マフィン」
「あ、あげますけど、七瀬くんバナナ苦手なんですよね?中条くんの言う通り、無理に食べない方がいいんじゃ…」
言い終えた後に顔を上げるとムッとした表情を浮かべる七瀬くんと目が合う。
「遠坂さんにもらえる物ならなんでも嬉しい」
「そ、そうですか…」
マフィンを鞄から取り出し、七瀬くんの手のひらに乗せる。
「図書室は飲食禁止なので、ここで食べるのはだめなんじゃ…」
「別に本読んでるんじゃないし、バレなかったら大丈夫でしょ」
な、七瀬くんが不良みたいなこと言ってる…!!