ー放課後ー


「…好きなもの?」

「はい!私、七瀬くんのことあまり知らないので!」


細やかなアピールをしようと決めた私は早速七瀬くんのクラスへとやって来た。

脈あり診断テストのアドバイス通りに実行してみようとは思うけど、そもそも七瀬くんが一体何を考えているのかは不明。

『好意はあるけど、まだ自覚ナシ』なんて、絶対ありえないしなぁ…。


「好きなもの……食べ物でもいいの?」

「あ、はい。食べ物でもなんでもオッケーです」


七瀬くんの好きな"もの"をプレゼントする。

私の細やかなアピール大作戦だ!!


「俺、甘い物好きだよ」

「…なるほど、スイーツ全般…ってことですか?」

「甘い物は基本なんでも好き」

「ふむふむ」


七瀬くんは甘い物が好き…と。

心の中で「よしっ!」とガッツポーズをする。

明日は選択科目で製菓の授業がある。

その日にお菓子を作って七瀬くんに渡そう!


「参考になりました、ありがとうございます。それじゃ私、帰りますね!」


そう言って教室を出ようとした時、

「あ、待って遠坂さん」

不意に七瀬くんが呼び止めた。