「…俺、ヤキモチ妬いてたの?」

「私は今の七瀬くんを見てヤキモチを妬いているように感じました」

「そっか、ヤキモチか…」


顎に手を当てうーん…と考え込む。


「…そもそも、七瀬くんは誰にヤキモチを妬いていたんですか?」

「……どっちだろう」


お互い顔を見合わせ、首を傾げる。

七瀬くんが私にヤキモチを妬く要素なんてないしなぁ…。


「七瀬くんがわからないと私もわからないです」

「そうだね」


その後、数秒程沈黙が続き、何故だか笑いが込み上げてしまう。

クスクスと笑い合う私たちはもう一度顔を見合わせて。


「…帰ろっか」

「はい!」


フッと一息ついてから、駅の入り口へと向かった。


「遠坂さん」

「なんですか?」

「敬語はやめないの?」

「…こ、心の準備が整いましたら、いずれは…!!」



───いつか、七瀬くんに好きな人が現れたら。



「いつ整うの?」

「わかりません!!」



私たちの関係はただの友達同士で終わってしまうんだろうな。