「んじゃ、決まりだね!やったね、汐莉!これでWデートできるねっ!」
「絢ちゃん!?」
「……デート?」
不思議そうに首を傾げる七瀬くんに絢ちゃんは「デートだよ!」と自信満々に答える。
「ウチと彼氏、汐莉と七瀬くんの4人でWデートすんのっ!」
「デートって……俺と遠坂さんは付き合ってないからWデートとは言わないんじゃ───」
「は?何、ウチの言うことになんか文句でもあんの?」
「い、いえ、全く……」
す、すごい…!
あの七瀬くんが絢ちゃんの圧に押されている。
…って、違う、そうじゃない。
「絢ちゃん!だめだよ、デートなんて言っちゃ……私と七瀬くんは友達同士であって付き合ってる関係じゃないんだから」
───そう、七瀬くんは私のことなんて、これっぽっちも思っていない。
彼は恋をしたことがないからたまたま告白場面に居合わせた私に胸キュンだの、恋だの、どんなものなのかと聞かれた(?)だけであって……。
自分でもわかっているくせになんだか悲しくなってきた。