考え込む私を他所に七瀬くんは話し続ける。


「あとね、俺、昨日とか今みたいにそんなに口数多い人間じゃないんだ。本当はもっと静かな方だし、口下手だし、人の話聞く専門だし」


表情は変わっていないけれど、真剣な彼の瞳から目を逸らすことができなかった。


「遠坂さんは、今まで出会ってきた女の子とは少し雰囲気が違うというか、なんだろう…話しやすいというか……。まあ、結論を言うと、俺はもっと遠坂さんを知りたいなって話」


七瀬くんはすっと片手を私の前に差し出す。



「遠坂さん、俺と友達になりませんか」



彼の発言に私は数秒思考が停止する。

しばらくしてやっと理解をし、差し出されている手と七瀬くんの顔を交互に見る。


「…わ、私でいいんですか?」

「うん、俺、遠坂さんに恋教わりたいし」


振られる覚悟をしていたのに、まさかの"友達になってください"と返ってきて、心の中で安堵のため息をつく。



───ん?ちょっと待って?