ー放課後ー


HRが終わった後、七瀬くんのクラスへやって来た私は、そっと教室の中を覗き込む。

キョロキョロ辺りを見回すが、七瀬くんらしき人物はいない。

今朝、七瀬くんと一緒に登校したはずだけど、もう帰っちゃったのかな…。


「どしたの〜?誰かに用事?」


考え事をしていると、近くにいた男の子が声をかけてくれる。

あ、この人七瀬くんとよく一緒にいる人だ。


「えっと、七瀬くんはどちらに…?」

「七瀬?七瀬なら告白のお呼び出しされてて今いないけど?」

「こくはく……」


私は男の子にお礼を言った後、床を蹴って、廊下を走り出す。

校舎中をあちこち走り回ったが、結局七瀬くんは見つからなかった。

咄嗟に走ってきたものの、私はあることに気がつく。


───さっきの人(たぶん七瀬くんの友人)に本人の居場所を聞いておけばよかったのでは…?


改めて、私はなんて馬鹿なのだと心の中で呟き、盛大なため息をついた。

がっくりと肩を落としながら回れ右をし、来た道を戻っていく。

七瀬くんに告白しようと意気込んだものの、本人が帰ってちゃ意味ないよね…。

自分のクラスの教室へたどり着き、再度ため息をつきながらガラッと扉を開けた瞬間───…。


「…っ!」


私は目を見開いて、目の前にいる人物の名前を呼ぶ。