「私みたいな人間が好きな人に自分のこと好きになってくれるわけないってちゃんとわかってるから!!だからもう、ほっといてよ!!」
悲しそうな、泣きそうな顔をする遠坂さんを目の当たりにした。
「そんなことないと思うよ」
声が震えそうなのを気づかれないように彼女の言葉を否定する。
「…っ、七瀬、くん……」
───遠坂さん。
きみは以前、"俺の優しい所に恋をした"って言ってくれてたよね。
でも、俺は遠坂さんが思ってるような優しい人間じゃないんだよ。
自分勝手で人の気持ちを察するの下手だし、何かに興味も持てない。
空っぽな奴だよ。
それでも遠坂さんは幻滅せずに、俺を想い続けてくれた。
そんな優しいきみを涙が込み上げそうになるくらい、俺はたくさん傷つけていたんだね。
───だから俺、決めたよ。
きみに不安を抱かせないように。
きみが心の底から笑ってくれるように。
「だったら次は俺が遠坂さんを振り向かせる番だね」
───今度は俺が、きみに"好き"って伝えに行く番。