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放課後。

遠坂さんのクラスへやって来ると彼女の友人・"あやちゃん"という人が俺の姿を見た途端、「やっほー」と手を振ってきた。

すると"あやちゃん"は察してくれたのか、遠坂さんを呼んでくれる。

遠坂さんは名前を呼ばれ、顔を上げた途端、真っ青な顔で俺を見た。


「遠坂さん、ちょっと話そうよ」

「私は話すことありません!!さようなら!!」


そう言って俺とあやちゃんの間を勢いよく通り抜ける。

1日中遠坂さんに避けられまくって胸を痛めていると、隣に立っているあやちゃんが「ねえ」と声をかけてきた。


「七瀬くんはさ、汐莉のこと好き?」


廊下を全速力で走っている遠坂さんの背中を見つめながら聞いてくる。


「…うん、好きだよ」

「…そっか!」


ニッと笑ってこちらを見上げた。


「かわいいでしょ、汐莉。本人は気づいてないんだけど、あの子地味にモテてんのよ。……ウチが言ってる意味、わかる?」


何か試されているような目で俺を捉える。


「好きならしっかり自分の手で繋ぎとめないとね」


あやちゃんが指さした方へ視線を移すと、遠坂さんの机にぽつんと通学鞄が置かれている。


「ついでに届けてやって」


俺は頷いて遠坂さんの後を追うように走り出す。