「なになに、2人なんかあったの〜!?」


中条が興味津々と言った表情で聞いてくるので、「別に」と素っ気なく答える。


「…安心してよ。オレ、遠坂さんのこと狙ってないから」

「……は?」


作り笑いのような笑顔を浮かべる中条と目が合う。


「そもそもオレ、遠坂さんみたいな大人しめの女の子によく苦手意識持たれるからさ〜。恋愛対象に入んないんだよね〜」

「そう言ってる割にはいつも遠坂さんと同じくらいの髪の長さや似たような体型の子連れて歩いてるよね」


中条は頷いたり、首を横に振ることなく、ただじっと俺の目を見ている。


「…まあ、遠坂さんを他の女子に置き換えてキスしてたりするような奴になんか渡さないけどね」

「さっきから何言ってんのか意味不明〜。…ってか、七瀬くんって本命(遠坂さん)以外の女の子のこともしっかり見てるんだね〜」

「…否定しないってことはやっぱり遠坂さんのこと好きなんでしょ」

「さあ?七瀬くんのご想像にお任せしますよ」


中条は狼狽える素振りもせず、ニコニコ笑っているだけだった。