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(あ、遠坂さん)
遠坂さんと関わるようになってから、彼女を見かける度に心の中でそう呟いた。
案の定、遠坂さんは俺のことが好きらしい。
口を滑らしたのか、俺を好きだと言った時の彼女はこの世の終わりのような顔をしていて、何というか───…面白かった。
でも、俺は好きじゃないから気持ちに答えることはできない。
「悪いけど、遠坂さんとは付き合えない」
そうはっきり伝えると、遠坂さんは少し泣きそうな表情だった。
(…本当にごめん)
罪悪感を抱きつつも、気がつけば、
「俺と友達になりませんか」
口が勝手に動いて、手を差し出していた。
彼女に対して感情も何も持っていないくせに"友達"からなんて、一体俺は何言ってるんだ…と自問自答する。
そんな俺とは反対に、
「私、七瀬くんが幸せになる道を作ります!!」
「七瀬くん、恋をしましょう!」
自分より俺の気持ちを優先してくるものだから驚いた。
後、遠坂さんは顔や態度に出やすい。
例えば、俺から話しかけに行くと嬉しそうにパッと顔色が明るくなったり、時には青ざめたり。
1回手を繋いだだけで顔を真っ赤にしていたこともあった。