「アークライト伯爵、ダリア様。」

 ウィルが突然発言し始めたので、皆が話をやめ注目しました。

「私達はまだ婚約したばかりではありますが、ローズを公爵家の嫁として迎える為、淑女教育を受けてもらう必要があります。彼女に毎日こちらへ通ってもらうのは、危険も伴いますし、こちらに居住を移してもらいたいのですが。いずれこの屋敷に住むことになりますし。」

 えええ!私公爵家に住むんですか?婚約者なのに?
 いえ、たまに聞きますよ、結婚前から同居。ありますよ、そういうこと。
 しかし私がですか?!

「承知いたしました、公爵様。ですが、私達もこの子との別れを惜しみたい。月末にこちらへ越してくる形でいかがでしょうか。」

 お父様も私の淑女教育が必要なことは予想していたのか、流れるように月末で、と提案しました。
 月末ということは、あと2週間位かしら…。

「…いや、来週末だ。」
「へ?」

 その場に居た全員がきょとーんとしてしまいました。来週末?!何故でしょう、そんなに急いで取り掛からないと公爵家の嫁として不十分ってことですか?もうなんだかそれなら婚約破棄寸前な気もしてきますよ?やっぱりわたしじゃ不釣り合いということですよね?

「婚約したことを発表するパーティも開きたいのよ~!ローズちゃんを早く自慢したいし!だからなるべく早めに越してきてほしいの。もちろんダリアちゃんもいつでも遊びにいらしてね。」

 カタリナ様が急ぐ理由を補足してくださいました。婚約披露パーティ。あぁ、やってる貴族いますね。というかよく開催されますね。みんなでお祝いしますねぇ…え、その主役?私?
 ちょっと無理かもしれません。多くのご令嬢に命を狙われそう…。

 赤くなったり青くなったりする私をよそに、私の引っ越しは来週末になることが決定されました。