「勝負はまだついていなかったの?」

 あんな轟音を立てていたというのに、まだ勝負は終わっていなかったようだ。
 不思議そうに尋ねたレーヴに、デュークが「うーん」と困ったように頰を掻く。

「三回勝負らしい。一本勝負のはずだったのだけれど、途中から変わっていたんだ」

「困ったおじいちゃんね」

 三回勝負で二回勝利しているのなら、三回目の試合は無意味である。
 とはいえ、レーヴだって気にならないわけではない。ジョシュアをも興奮させる勝負を、彼女も観戦したくてたまらなかった。

 レーヴを奪い合って戦う二人の男性。
 なんてロマンチックなシチュエーションだろう。

(ああ、私のために争わないで〜……なんて止めるシーンなんだろうけど。残念、私はそんな女じゃないんだなぁ)

 獣人の戦い方に、レーヴは興味津々である。
 チラチラと期待するような視線を向けられて、デュークは自信たっぷりに微笑んだ。

 余裕たっぷりの魔王のような不敵な笑みは、とっても悪そうで強そうだ。勇者なんて軽く一捻りしそうなデュークに、レーヴは期待に胸を膨らませた。