「デューク、巻き込んじゃってごめんなさい」

 態度を一転させて申し訳なさそうに肩を落とすレーヴに、デュークは「気にしないで」と彼女の頰を撫でた。

 恋人同士のような距離で見つめ合う二人に、ガシャガシャと剣を振りかざしながらジョシュアが叫んだ。

「コラー! 勝負はまだ終わっとらんぞ、デューク! 早く戻ってこい」

 ジョシュアは、まるで戦を前にした戦士のように目をギラギラさせている。

 デュークとジョージの試合は、ジョシュアを興奮させるほどのものだったのだろうか。
 一体どんな試合だったのか、とレーヴはソワソワした。

 ロスティの国民は、圧倒的な強さに弱い。血筋よりも強さ、国王よりも総司令官に人気が集まるこの国において、強い者同士の試合など、血湧き肉躍るイベントなのである。

 その証拠に、訓練場を囲む柵の向こうでは一般人たちがギャラリーを形成し、普段は仕事をしているはずの先輩たちも、離れたところで観戦していた。