ジョシュアは歴戦の猛者で、この支部最強の男と言っても過言ではない。
 だが、初老の年齢である彼と獣人が戦うのは無謀である。なにせジョシュアは、つい先日もぎっくり腰で休んだばかりなのだ。

 そんな老人相手に、獣人であるデュークが勝負を受けるのは、弱いものいじめにしか思えない。たとえそれが、ジョシュアから持ちかけられた提案だとしても、だ。

「誤解だ。僕だって、さすがにそんなひどいことはしない」

「じゃあ誰としたっていうの」

 デュークの視線が訓練場へ向けられる。つられるようにレーヴも視線を移すと、訓練場の真ん中で、倒れたジョージを起こそうとしているジョシュアの姿があった。

「え……まさか、ジョージと戦ったっていうの?」

「そうだよ。ご老人と戦うわけにはいかないって断ったら、ジョシュアさんがジョージくんを呼び出して、それでこうなった」

「えぇぇぇ……」