「ぬいぐるみ、喜んでくれて良かった。…日名瀬さんが言ったみたいに、僕も渡すつもりなかったんだ」

 ——本当は、買うつもりもなかったし、ただ好きって言ってたからつい買っちゃっただけだけど。


「…?」

 日名瀬さんが、真っ赤な顔のまま不思議そうに小首を傾げる。

「僕も、日名瀬さんが好きです。…付き合ってください」

「……!?」

 「嘘、だよね…?」と、訊く日名瀬さん。

「嘘じゃない」

 …ていうかさ。

「嘘でこんなこと、言わないから」

 ふわり、と風が吹く。

「…ぶっ」

「ふへっ!?」

 何か、大きな物が顔に被さる。

 「…何これ……」と呟きながら被さった物を取ると、それは雨ガッパ。

 …なんで今飛んでくるかな。

 ムードぶち壊し…。

「……近藤くん」

 急に真面目な顔を作って、日名瀬さんが言う。