「…お土産屋さんの前通った時、見えたから」

「…! ありがとうっ」

 一瞬、日名瀬さんが大きく見開いて、何かを悟ったような顔をしてそう言った。
 ぎゅっとぬいぐるみに抱きついて。

 その姿が可愛くて、可愛くて。



 ——そんな、自分の大好きな子が
 自分を好きだなんて、
 信じられなくて。

 どうしても
 信じられなくて。



「…さっきの、本当?」

「? さっきのって?」

 問いかけたけど、よっぽど喜んでくれたのか忘れているみたいで、不思議そうな顔をする。

 だけど、すぐに思い当たったのか急に頬を染めて、「うん………」と小さく呟くように言う。







「そうだよ。
 私、…………近藤くんが、好きです」






「……っ」


 「本当に?」とは、言えなかった。

「…ごめん」

 小さく、呟くように謝る。

「…」

「ちょっと…今、やばいかもしれない」

 正直にそう言う。

 だって、誰だってそうなると思う。

 好きな子に、自分を好きだって言われたら。