委員会の時だって、そうだった。

 初めての委員会で、自己紹介の時。

 緊張しぃの私には、自己紹介なんて地獄でしかなかった。たった数十秒の挨拶だけで、自分の印象が決まってしまう。そう思うと、怖くて、怖くて。

 『日名瀬天音です…』と、ただそう呟くだけの自己紹介になってしまった。

 先輩達も、私を知らない同級生達も、よく聞こえなかったみたいで、皆困った顔をしてた。

 でも私はテンパってて、私の挨拶の仕方が気に入らなかったからそんな顔してるんだって。そう思うと、怖くて顔を上げられなかった。あのままだったら、気まずい雰囲気が流れるだけで、皆の私に対する印象も、最悪だったと思う。

 でも、近藤くんが助けてくれた。

『日名瀬天音さんだそうです。多分人見知りなだけだと思うので、そんなに気にしないでください』

 そう言って。

 あとで、なんでわかったのか聞いたら、『クラスの自己紹介の時も声小さいし、下向いちゃってたから』って教えてくれた。その日、私の彼への印象は、「髪の長い男の子」から「優しい男の子」に変わった。…なずなは、おせっかいだって笑って言ってたけど、私はすごく嬉しかったんだ。助かったんだ。