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デートなんて、初めてだ。
『いいよ、1日だけデートしてあげても』
そう言った日の1週間後。つまり、バレンタインは先週のこと。チョコを貰ったのは金曜日。1日早めのバレンタイン。
今日は日曜日。
1週間前はあんなにたくさん店にチョコレートが並んでいたのに、今は全然ない。
買われなかったチョコはどうなったのだろうか。捨てられたのだろうか。
もしそうなら、チョコレートに同情する。…チョコレートに同情するなんて初めて思ったな。
相手がただの罰ゲームでも、僕にとっては初めての、しかも好きな子とのデートなわけで、服装にも髪型にも無駄に気合が入ってしまった。
僕はファッションセンスはある方だ。その代わり、自分がその服装に負けてしまうけれど。
だから僕に合う感じの服にした。でももちろんそうすると必然的にカッコ悪くなるわけだから、せめて髪を床屋さんで切ってもらった。それと、ちょっと髪のセットも。床屋のおじさんは髪を切ったあとの僕の姿を見て驚いていたみたいだった。
僕は今待ち合わせをしていた店の前にいる。そこのガラスに自分の姿が映り込んでいる。
くるっと内側に巻かれたウェーブヘアー。
黒と茶色が混ざったようなこの変な色は、僕は嫌いだ。
垂れ目だけど鼻に向いた目尻。そして二重。
瞳の色は茶色。
鼻頭は高くもなく低くもない。
口は薄くて小さい方。
髪を切ると、無駄にそれら全てが目立つ。