きっと日名瀬さんが僕を選んだのは、僕なら断らないだろうと思ったからなんだろう。女の子からのデートのお誘いの経験なんて、僕みたいなモサ男にはない経験なんだし、第一僕なら誰にも好かれない。つまり、たった1日だけのゲームで誰かと敵対する危険もない。

 日名瀬さんはやっぱり、僕のことなんて好きじゃなかった。…でも、チョコの相手は僕なわけだから好きな人に渡すわけじゃないし、良かった方なのか?

 罰ゲームなら、きっと僕が断ったら誰か別の人に頼むんだろう。それは、嫌だ。

 本当は日名瀬さんだって、僕とデートなんてしたくないのかもしれない。いや、そうに違いない。

 ——それでも。

「いいよ、1日だけデートしてあげても」

上からな態度で、先制をした。