二人は、しばらくそのまま固まってしまった。何ともいえない時間がしばらく続いた。



「…お、おめでとう、倫子ちゃん。」
「…あ、ありがとう。」
「あっ、も、もうこんな時間だ、今日は、親父にちゃんと登校するって約束してたんだった!髪もピアスも元に戻したし。じ、じゃあまた!」
「…」


「はぁ…」

初ロマンスが不発に終わった倫子は、がっかりした表情を浮かべながら、そのまま学校へと急いだ。
朝の日差しが差し込む教室内では、倫子を取り囲んで、クラスの女子が盛り上がっている。

「椿野要…って、これ、誰の上着?」
「この学校の制服じゃないし…あ、もしかしてあの劇の時の!」
「…やっぱり彼、りんごの…」

―か、返すの忘れてたよぉ~っ(ToT)―

きらめくシャインタウンの中、今日も真っ赤な顔の倫子がいる。