劇のメンバー達が、体育館から退場する際、観客はメンバー達に、暖かい拍手を送った。メンバー達は、それに、とびっきりの笑顔で答える。約一名を除いて。
列の一番後ろにいる要は、その前を行く倫子に話しかけた。

「お、俺も参加してて良いの?」

振り向いて、倫子はほほ笑みながら言った。

「もちろんよ、出張王子様、ううん、出張騎士さん!」

一方の、実行委員達も、今日のアドリブ劇の話で盛り上がっていた。

「う~ん!今年のアドリブ劇は、例年にないぐらいの反響でしたね。」
「まさか、ここまでの盛り上がりになるとは思っても見なかったですよね、校長先生?…って、あれ?」

そこには、さっきまでいたはずの校長先生の姿がなかった。



体育館の出口を出ようとしたその時、要は、ある人物が出口のそばにいるのを発見し、はっとした。そして、倫子に言った。

「あっ、み、倫子ちゃん。俺、ここまででいいわ。また、いずれ何かあったらその時…」

そう言って、列から外れると、その人物と向き合いこう言った。