「うっ…」

要にメールを送れる訳のない舞は、二人に対して、色々と言ってやりたかったが、どう考えても、この劇のお開きのタイミングはここしかない。
悔しさを顔全面ににじませながらも、下手な事を言えば、この劇の収拾がつかなくなってしまう。そして、

―私だって空気ぐらい読める人間よ―

と、最後に舞に残されたそのプライドと共に、

「き、き、今日の所はこれぐらいにしておいてあげるせいぜい末永くお幸せにお二人さんっ!」

区切れなく、そう一気にまくし立てると、舞は体を震わせながら、舞台の上からフェードアウトした。
大勢の観客の拍手をもらいながら、舞台の幕がおりていった。
幕がおりていく中、要は、倫子に言った。

「よくがんばったね。」

その言葉を合図に、倫子の目から、熱いものがとめどもなくあふれ出した。

「…うん。」



しばらくして、倫子は、劇のメンバー達がにやにやしながら、いつまでも舞台の上にいる二人を見つめている事に気付いた。
倫子は、やっと今の状況を理解し、

「あ…あの、要君…」