しばらくして、要の携帯電話に、倫子からのメールが届いた。

「そういえば、そうだったね。」

初めて要と会った時、全く会話にならず、メール番号だけをもらって帰った時の事を思い出して、倫子はくすっと笑った。
要も、そのメールをみて、くすくすっと笑った。しばらくの間、和やかな二人の時間が過ぎていった。二人に、舞台の上でほったらかしにされている舞がたまらず叫んだ。

「ちょっと!何がおかしいのよ!何完全に二人だけの世界にひたってるのよ~っ!」

それを受けて、観客は皆、爆笑した。

「いゃあ~今の気の抜けた間が最高だったねえ。」
「なかなか狙ってできるものじゃないわ。最近の高校生は、あなどれないわ!」

―ね・ら・っ・て・ないわよぉ~っ!―

舞は、倫子に負けないぐらいの真っ赤な顔をして怒った。舞にどなられて、ああ、そうそうといった顔つきで、要は、携帯電話を舞の方向に突き出した。

「あんたも、俺にメール送ってみるかい?…もし、できなきゃ、これで勝負ありだな!」