倫子は、体をくねらせ、踊り始めた。しかし、その様子は、滑稽と言うより、まるで、天女の舞の様に華やかで可憐なものだった。
そして、舞台に倒れこみながら倫子は舞に言った。

「お義母さま、私は、いつもお義母さまからタコ踊りのレッスンを受けているのにもかかわらず、こんなに美しい舞しか未だにできません。
これでは、笑い好きと噂の王子様に見初められること無く家路につくしかありません。
このままでは、玉の輿に乗って、家計を助ける計画が水の泡。どうか、いつもの様に見本を見せてください、お願いします!」

舞台の観客席から笑いと驚嘆の声が起こった。

「おいおい、もうすでに王子様と結ばれる予定になってるぜ。」
「でも、あの切り返し、なかなか上手いわ、さりげなく悲しそうにやるから、不幸な生い立ちってとこも壊してないわ。」

舞は、この倫子の切り返しにびっくりした。

―なっ、なかなかやるじゃないの…―

舞は、倫子の反撃に驚きつつも、今度は出演者であり、自分の子分でもある「えんぴつ」「どんぐり」の凸凹コンビに倫子を攻撃させる。