その校内放送をきっかけに、出演者達は、最後の衣装チェックを済ませ、体育館へと向かっていった。



午後一時二十七分。体育館は、大勢の観客で埋め尽くされていた。そして、舞台から見て左側には、文化祭の実行委員、特別審査員の校長先生がいた。実行委員の一人が、校長先生に話しかける。

「校長先生、今年もすごい入場数ですね。ざっと三百人はいますよ。わが学園の生徒を抜いても大半は一般の人達ですよ、って、何をしているんですか？」
「うん、ああ、ちょっと届いたメールを見ていたんだ。」

校長先生は、そう言って笑った。

「へえ、校長先生もメールをされるんですか。誰とです？あっ、もしかして奥さんとですか？」
「まあ、身内と言えば、身内だな…」

そう言って校長先生は、そのメールを見つめていた。そして、忙しそうに、メールを打ち出した。
舞台裏では、演劇部の部員が、今日の主役達の衣装を整えたり、メイクを施したりしていた。
そばには、演劇部顧問、大崎先生がその様子を見守っていた。その大崎先生の携帯電話にメールが届いた。