毎日の倫子の努力は、学校生活の中でも大きな変化として現れ始めた。

―何か最近、感じ変わったよな、りんごって―

―以前より、はきはきしてて明るい感じね。何か、良いよね!―

少しずつではあるが、倫子の周りには、クラスメートが集まって来る様になった。その変化にもっとも敏感に感じていたのは倫子自身であった。

―変われる、きっと変われる、ううん、変わっていってるわ私!―

倫子は、自分の変化に確かな手応えを感じていた。
しかし、その倫子の変化を喜ばしく思わない者もいた。

「あいつ、最近な・ま・い・き・よね!…まあいいわ、本番で徹底的に叩きのめして、元のりんごに戻してあげるから。
あんたはせいぜい、家にでも引きこもって、フルーツバスケットの中で震えているのがお似合いなのよ!」

舞はそうつぶやくと、夕日が差し込む放課後の教室から出ていった。
そして、文化祭の当日を迎えた。