「赤井倫子（あかいりんご）」。そう書かれていたからである。
倫子は、極度の緊張のあまり、いつもクラスメート達から聞かされているあだ名を書いていたのだった。倫子は、急いでその文章を書き直した。

「赤井倫子（あかいみちこ）。これが本名です。」

それを見た要は、しばらくぼう然としていたが、

「君、面白い子だね。」

と、吹き出してしまった。
だが、それをきっかけにして、倫子の感情が一気に爆発した。
要はしまった、と、口を押さえたが遅かった。倫子はすでに、両目から大粒の涙をぽろぽろと流して泣いていた。女の子を泣かしてしまって、ばつが悪そうな顔をしている要を見て、倫子は、首を左右にふりふりしながら続けて文章を打ち込んで要に見せた。

「大丈夫です。(*^_^*)」