「親は再婚で、今の父親は実の父親じゃないんだったな。それと関係があるのか?」

真面目な顔での問いかけに、一瞬驚いてから笑みをこぼす。

「プロフィール、本当にきちんと読んでくれたんですね。ありがとうございます。嬉しいです」

お見合いの席で私があんなことを言ったから、しっかり見てくれたのだと思うと嬉しかった。だからまずその気持ちを伝えてから……そっと口を開く。

「事情……と言うほどたいしたことじゃないですが。あの、あまり深く考えずに聞いてください」

昔から自分のことを話すのが苦手だった。
それは、私の過去が、話だけ聞くとあまり明るくないものだから。

ただただ同情されて腫れ物に触るように接せられる結果になるのだとわかってから、自分から積極的には語らなくなった。
聞かれてもぼやかしてぼやかして話すようになった。

そんなだから、この話を自分から誰かにするのは慣れてなくて、わずかな緊張を感じながら言葉を選ぶ。

「両親は二年前に再婚して、私は母の連れ子なんです。実の父はとにかくギャンブル狂でお金関係がひどかったらしくて……結局、借金を母に押し付けて行方をくらませたあと、離婚届を郵送してくるような人でした。両親が離婚したのが、私が小学校に上がる頃です」