「んで、いつ結婚すんの?」
「気が早い」
「早くねーよ! もう二年付き合っただろ、もういいよ、適齢期だよ俺たち」
二年間部署移動もなく平和にやってこれたのは色人と涼嶋の業績だけが特に抜きんでてよかったからで、あれから特に仕事は代わり映えしていない。
満と付き合い始めたとうっかり、本当にうっかり強い酒を飲み、つい酔って、酒の席で大声を出してしまった……というのは冗談として、さすがに秘書課に彼女がいるといえば横恋慕しようという女性は営業や経理にはいないらしかった。
「毎週ノー残業デーはほぼ確でデートしてるもんな。マメだよなあ」
「涼嶋はどうなんだ、工藤愛理と。いやもう涼嶋愛理になったんだったな」
「それまだ言う?」
「先月の話だろ、いまイジらないでいつイジるんだよ」
仕事は特に変化はないが、私生活にはある程度波があった。
色人と満が付き合い始めてしばらくしてから涼嶋と愛理も付き合い始めたのだと報告されたときはさすがに因果関係に首を傾げた。
なんでも色人が話していたことが愛理には筒抜けだったらしいと聞いた時には少しばかりの殺意も芽生えた。
だからなのかいつの間にか涼嶋も奇病のことを知っていた。満は涼嶋と愛理が連絡をとってることは知らなかったそうだが。
それでいてさらにサクッと結婚してしまったのだからなにがあるかわからないものだ。