「おっそーい」

 予想通り。自分の脳内で思い描いた顔で友人は笑った。

「ごめんね愛理、お待たせしました」

「満が遅刻するなんて珍しいなーと思ったけど、そういや繁忙期なんだっけ?」

「うん、忙しいのは私じゃなくて営業部と偉いおじさんたち」

「しんどいねー、あ、なんか買ってきたら?」

「そうする」

 愛島満。それが彼女の名前だった。

「愛理のやつなに?」

「アイスのカフェモカのホイップ多め」

 対して彼女は満の友人で工藤愛理という。

 黒髪で、よく言えば楚々とした満に対して愛理は茶髪でネイルをし、付けまつげにハイブランドのバッグととにかく正反対だ。

 後ろをとおりがかったサラリーマンが組み合わせに不思議そうな顔をしていたがこれはもういつものことだった。