「高橋さん、二階様からお電話です」
「ああ、ありがとうございます。繋いでください。……お電話代わりました、高橋です」
今日の予定はどうだったかと手帳を開く。
外回り、挨拶、会食、プレゼン。
毎時間なにかをしているようなきっちり詰まったスケジュール帳にぽっかりと白が口を開けている。
毎月、どこか一日だけは、必ず。
「すみません、明日は休みを頂戴しておりまして……ええ、はい……すみません、病院へ行くものですから……ああ、いやただの定期健診ですよ、ですので……はい、はい……では明日後で、はい……はい。よろしくお願いいたします」
大きな音を立てないよう受話器を置く。
もう一月経ったのかとまた手帳に目線を落としてため息をつく。
面倒だ。面倒だけれども、通わなくてはならない。