歯がゆい2人の関係を見ていた涼くん。
呆れながらも友達として一言言っておきたい。


「なぁ賢心……畑中と連絡取ってるのか?」

「…いや」

「そっか…松本先生の話だと病状も落ち着いてるみたいだから、とりあえず良かったけど……
お前はいいのか?それで…」

「いいも何も、雪乃が会いたくないって言ってるんだからどうしようもないだろ」

「お前も畑中と同じくらい素直じゃないんだな。
2人でそんな強がっててどうするんだよ」

「………」


会いたくないと言われた時に思った。
きっと俺の為なんだろうと…

勝手に決めるなよ!って…
そう言いたかったけれど、松本先生に言われた
言葉が胸に突き刺さっていた。

俺は、雪乃の何を見ていたのだろう…
結局自分の事しか考えていなかったの
かもしれない。
雪乃を守ると言いながら俺は、
雪乃を失うかもしれない恐怖から
雪乃の心臓だけを診ていた……


「何やってんだ……俺は…」


そして1人でカレーを作ってみた賢心は、
どうにも出来ない寂しさが更に増してしまう…


「俺は何でカレーなんか作ってんだよ……はぁ…」


雪乃のカレーがまた食べたい…と思いながら
深い溜め息と共に1人で食べる夕食は味気無く、
スプーンはなかなか進まない。