「えっ!?辞める!?いやいや畑中さん!そんな
心配しなくても今はゆっくり休んで体調整えて、そしてまた戻って来てくれればいいんだから!」

「……でも、いつ戻れるのか…自信がないんです。
そんな状態でだらだらお休みいただいても、
みんなに申し訳ないですし……」

「何言ってるんだよ。畑中さんには沢村先生が
付いてるんだから、絶対に良くなるよ!それまで休職って事にしておくから、ね!」

「……はぃ…本当に申し訳ありません…」


仕事を辞めようかと電話をしてみたが、
こんな私の事を引き留めてくれた。

あれから私は実家でのんびりと過ごし、
病気の事は松本先生にお願いして、検査や薬も
処方してもらいなんとか生きている。

賢心から離れて1人になりたいと言った
私のわがまま……それは賢心の為。

離れてゆっくり時間が出来ると、
色んな事を考える。

幼かった頃の約束……
中学の頃のキス……
病気が分かった時のショック……
お父さんの涙……
離れようとした時の辛さ……
追いかけてくる幼馴染み……
高校の頃の初体験……
幼馴染みが外国へ行ってしまった時の寂しさ……
そして急に戻って来た時の嬉しさ……
約束を覚えていてくれた幼馴染み……
私の為に医者になった幼馴染み……
いつも私についてくる、幼馴染み……
大好きな…幼馴染み……


思い出して考えて、1人で泣いている私を
お母さんはそっと見守っていた。