いつも仕事の合間に検査と診察に行く。
病院という事もあり、理解ある職場で助かって
いるが……今日は診察室に行くのが怖い。

予約時間に検査室に行くと、検査技師の女の子が
驚いた表情で私を見てきた。

「あれ!今日は畑中さんの検査、先生がやるって聞きましたけど」

「えっ?聞いてないけど…」

「今確認してみますね!」

「あっ、いいよ。外来行って聞いてみるから」


そういう事ですか…

重い足取りで外来の受付に行くと、すぐに診察室へ入るように言われ、震える手で軽くノックをしてドアを開けると……そこには予想通り、涼くんと賢心の姿があった。


「畑中ごめんな、実は…」

「ごめんね……やっぱり、知ってたんだね」

涼くんの後ろに立ち、悲痛な目で私を見ている
賢心と視線が合ったまま離れない。

私は目を離さずに平然と話し続けてみるけれど…

「…ここで検査するんだよね」

「急で申し訳ない。今日は俺と賢心で検査したいんだ。いいかい?」

「…うん、……悪くなってるの、見たいよね‥……」

私は何を皮肉みたいな事を言っているんだろうと思いながら、気付くと涙が頬を流れて、

「雪乃、大丈夫だから。」

やっと声をかけてきた賢心の目を
もう見る事が出来なかった。